再診料、69点から71点への「回復」が焦点

中央社会保険医療協議会総会(会長:森田朗・東京大学大学院法学政治学研究科教授)が1月13日開催され、「2012年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理」(案)について議論した(資料は、厚労省のホームページに掲載)。

 13日の議論を反映し、再整理してまとめたものを次回1月18日の総会に提出。その議論を踏まえ、2012年度診療報酬改定の検討状況として、パブリックコメントにかけることになる。1月20日には愛知県で公聴会の開催も予定されている。

 「これまでの議論の整理」(案)は、全体で39ページ。社会保障審議会の医療部会と医療保険部会で取りまとめた改定の基本方針に沿い、二つの重点課題と、四つの視点から成る(『「勤務医負担軽減」などが柱、改定の「基本方針」了承』を参照)。

 1月13日の総会で意見が対立したのは、再診料をめぐる議論。京都府医師会副会長の安達秀樹氏は、再診料の議論がこれまでなされなかったため、「これまでの議論の整理」(案)に盛り込まれていない点を指摘、「前回改定では、下げるべき理由も議論されず、71点から69点に引き下げられた。"財源ありき"で決まったことだ」と述べ、今回改定での議論を求めた。さらに、「診療所の体力の基礎を支えるのが再診料。ここ数回の改定で再診料は引き下げられ、診療所は真綿ではなく、針金で首を絞められているようなもの。日本の診療所は、それぞれの専門分野で機能を果たしている。この機能がなければ、病院勤務医の負担がさらに大きくなる。病院勤務医の負担軽減のためにも、今後の検討課題としてぜひ加えてもらいたい」と求めた。「(前回改定前の71点に戻すことは)加点ではなく、回復」

日本医師会常任理事の鈴木邦彦氏も、「日本の質の高い医療は、診療所が支えている。前回改定まで戻した上で、その後のあり方を議論してもらいたい」とコメント。総会後、鈴木氏は、「確かに財源があれば引き上げてもらいたいが、まずは前回改定前の71点まで戻すことを今改定では求める。今回、この議論をしないと、後々まで前回改定での再診料引き下げ問題を引きずることになる」と説明。

 診療所の再診料の議論を求める声は、病院側からも上がった。国立がん研究センター理事長の嘉山孝正氏は、「日本の医療は世界一。がんの5年生存率は、乳がん以外は世界でトップ。がんの早期発見などにも診療所が寄与している」と指摘した。

 さらに、全日本病院協会会長の西澤寛俊氏は、再診料は基本診療料であり、その関連で発言。「病院にとっての基本診療料は、入院基本料。今後の議論のテーマとして、『入院基本料のさらなる評価』も入れてもらいたい」(西澤氏)。

 こうした診療側の要望に対し、再診料の議論、さらには引き上げを牽制したのは、健康保険組合連合会専務理事の白川修二氏。「再診料と入院基本料について議論を求める意見があったが、そもそも今改定は若干とは言え、プラスになったことは私どもとしては、残念であり、不安。改定財源が約5500億円という中で、社保審の基本方針に従い、配分を考えていく必要がある。再診料と入院基本料が経営安定に大きな意味を持つことは分かるが、"底上げ"のような形で、配分することには基本的には反対。しかるべき機能を果たしている施設、あるいは重点的に評価すべき部分、強化すべき部分に傾斜配分していくことが、今改定の基本的スタンスであり、その方向で議論していくべき。また(医療経済実態調査において)診療所は平均で見れば、前回改定よりも、収支が改善している実態を踏まえれば、底上げをする現状にない」(白川氏)。

 複数科受診の再診料でも意見対立

 再診料については、同一医療機関で複数診療科を同一日に受診した場合の扱いに関しても、診療側と支払側で意見が対立した。

 現在は1回のみしか算定できないが、診療側は、2科目でも再診料を算定できるよう求めている。「2科目、3科目は再診料は算定できないというのは、医師にとっては自分の技能、経験を否定されているようなもの」(安達氏)、「医師がプライドを持って仕事をできるようにすることも、病院勤務医の負担軽減だ。医師の技術が全く評価されなければ、医師のモチベーションは下がる」(西澤氏)、「基本的には、患者の理由で2科目、3科目を受診している。(複数科受診で再診料を算定できないのは)不条理であり、これでは医師のモチベーションは下がり、医療崩壊につながる」(嘉山氏)などの意見が上がった。

 これに対し、白川氏は、「医師の技術料が再診料に入っているのは事実。しかし、病気の関連で、他の診療科を受診するケース、あるいは全く異なるケースなど、複数科受診には様々なケースがある。また診療科の分け方が、病院の都合であることも実態。この辺りの整理がつかないまま、複数科を受診した場合でも、再診料をすべて算定できるようにするという議論には乗れない」と述べた。

 地域医療貢献加算、名称と要件の見直しか

 そのほか、再診料の加算である、地域医療貢献加算も議論に。2010年度診療報酬改定では、再診料が71点から69点に引き下げられた一方、同加算(3点)が新設された。

 「これまでの議論の整理」(案)では、「地域医療貢献加算については、夜間・休日等に対応している診療所の評価につながっており、病院の時間外受診に対する効果も見込まれていることから、さらなる促進のために地域医療貢献加算の再編成とする」とされている。

 安達氏は、「ぜひ名称変更をしてもらいたい」と要望。時間外の対応のみが、「地域医療への貢献」と誤解されがちなためだ。その上で、準夜間のみ対応する診療所、24時間365日対応する診療所など、幾つかのパターンを想定して点数を設定することを求めた。

 白川氏も、「名称と要件の見直しには、賛成」と支持。「24時間対応しているところと、準夜帯のみ対応しているところと、同じ点数を付けるのはいかがなものか」とし、加算1、加算2などという形で区分する必要性を指摘した。

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投稿者: 日時: 2012年1月22日 22:36 | パーマリンク |TOPページへ   ▲画面上へ